最近、若いお母さんがスマホを使って赤ちゃんをあやしたり、子どものしつけにアプリを使うといった姿をよく見聞きするようになりました。
乳幼児から、暖かい言葉かけや温もりのある肌の触れ合いの関わりにメディア機器を与えられた子どもたちの心はどのように育つのでしょうか。ゲームや携帯の普及で、小学生・中学生になっても家族や友だちとの温もりのある語り合いの時間などもきわめて少なくなっています。テレビやパソコンも含めて無機質なメディア機器と向き合う時間だけが肥大しているのです。
そんな日本の子どもたちの心の闇を窺がわせるデータを紹介しましょう。2007年にユニセフが24カ国の15歳の子どもたちを対象にした調査結果です。「自分が孤独である」と感じている子どもは、日本が29.8%と群を抜いて多く1位、2位アイスランドの3倍、最も少ないオランダ2.9%の10倍でした。日本の15歳児のほぼ3人に1人が孤独を感じながら生きている!という衝撃的な事実です。同じ調査で「自分は世の中の厄介者、場違いな存在だ」と感じている子どもも日本が最も多く18.1%で断トツ1位でした。
親への愛着形成も不十分なまま人生のスタートを切ったわが国の子どもたち。家庭でも社会でも“大切にされていない”ことを痛切に感じながら育っているのではないでしょうか?
もう1つのデータを紹介します。日米中韓4カ国の高校生を対象に実施した調査です。「私は価値のある人間だ」という設問に「はい」と答えたのは、日本36.1%、米国89.1%、中国87.7%、韓国75.1%。「私は自分に満足している」という問いに「はい」と答えたのは、日本24.7%、米国78.2%、中国68.5%、韓国63.3%。いずれも、日本の子どもたちが他の3カ国と比べて「自己肯定感」が極端に低いことを示すデータです。
テレビ、ゲーム、、携帯、パソコンといったメディア機器に向き合う時間だけが肥大し、生身の人間と触れ合う時間は細る一方の日本の子どもたち。他人から「ありがとう」と言われたことのない子どもに「自己肯定感」は決して生まれないのです。
この文章は、キリスト教保育連盟から発行されている“ともに育つ”に書かれていた文章です。今のままではこのようになってしまいますよ。と言っているのではありません。この幼児期にいかに愛されているかということを子どもたちが積み重ねていくことが大切なのです。言うことを聞かないのが子どもたちなのです。始めから何でもできてしまう、言うことを聞くことが決して良いことではないのです。もう一度“いい子”とはどんな子なのかを私たち大人がしっかりと見つけなおさなければいけません。
子どもたちは日々、幼稚園という小さな社会の中で気持ちの伝えあいをしています。言葉だけでなく、体で表現することもあります。行いに対してアンテナを立てるのではなく、その時の気持ちにしっかりアンテナを立ててあげましょう。それはすべてあそびのなかで起こっていることです。幼児期に必要なことが“あそび”の中になるのです。
お箸が持てること、靴が並べられること、自分で洋服がたためることなど今の子どもたちに必要ありません。それは成長していく中で身につけていけばよいのです。
今の流行りの言葉で言うと、「いつあそぶの?」「今でしょ!」なのです。